圓苑(圓山大飯店)
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- 〈 台北市 〉
優雅な店内で味わいたい秘伝の美麗料理
台北・桃園空港からバスやタクシーを利用して台北市内へと向かう途中、小高い丘の上にひときわ目立つ朱色の建物が見えてきます。赤い円柱と金の瓦の優雅な外観が特徴的な建物は、台湾の数あるホテルの中でも格式高い老舗ホテル「圓山大飯店」。
その1階に構えるレストラン「圓苑(ユアンユアン)」は独創的なメニューで舌の肥えた台湾人をはじめ、多くの人を魅了しています。
ホテル「圓山大飯店」があるのは手前に基隆河、背後には陽明山がそびえ立ち、自然に囲まれている場所。遠くには台北101も眺められます。
中国の宮殿を思わせる建物の正門から中へ入ると、梅の花の中に龍が舞う天井装飾や赤い絨毯や九龍壁など、クラシカルかつ豪華絢爛な佇まいが目に映ります。
ホテルのロビーに向かって右手奥にあるレストラン「圓苑」。1973年の創業以来、浙江(せっこう)料理や上海のエッセンスを散りばめた北方風点心などを提供するレストランとして、美食家を惹きつけてきました。
浙江料理は上海の南に位置する浙江省で生まれた中国八大料理のひとつ。浙江省は東シナ海に面しているため海産物が豊富で、素材の味を生かした調理法や盛り付けにこだわる料理法が特徴です。
圓苑のシンボリックな料理メニュー、「揚げ黄魚の甘酢あんかけ(松鼠糖醋黃魚)」(1060元〜)。
ダイナミックな見た目で、お祝いの席で好まれる豪華な料理です。カリッと揚げて特製の甘酢を絡めた魚は、日本ではキグチと呼ばれる海水魚。淡白な味わいの白身が甘酢にもよく合うこの魚は、揚げる以外にも醤油ベースのタレと煮たり、唐辛子や高菜と一緒に蒸したりなど好みの調理法が選べます。
長年愛される圓苑の点心メニューは、王道の「小籠包」(6個260元〜)や「えびとニラの焼き餃子(冰花煎餃)」(6個260元〜)がおすすめ。出来たて熱々が丁寧にサーブされ、小籠包のもっちり柔らかな皮を頬張れば、肉汁の旨味を堪能できます。
繊細なレースを思わせる美しい羽根付き餃子もまた、シェフがこだわり抜いて仕上げる名物品。
作り手の技術力の高さを感じさせる華やかな出来栄えは、サーブされた際に心踊ります。
餡にはジューシーな豚肉、たっぷりのニラ・えびを使用。こだわりの調味料で味付けして香ばしく焼きあげられた餃子は、パリパリッとした羽根の食感がさらに食事を盛りあげます。
まるで宝石の翡翠(ひすい)のように美しい色をした食材は、ウリ科のヘチマ。台湾ではそのまま炒めたりスープに入れたりするなど、家庭でも好まれる定番の野菜です。「ヘチマと貝柱の炒め物(干貝燴絲瓜)」(420元〜)は、味のアクセントに甘辛い貝柱の風味を効かせた大人の味。点心の箸休めにもちょうどよく、ヘルシーなひと品です。
日本人にも親しみのある「東坡肉(トンポーロウ)」(1人分:220元)は、浙江料理が発祥。豚肉を塊のまま茹で、タレに漬けてじっくり仕上げる東坡肉は、手間も時間もかかる中国の伝統料理です。
長年守られてきたレシピをもとに作る特製ダレで、台湾産の上質な黒毛豚を8時間も煮込み、随所に美味しさを格上げする調理を経て提供された角煮は、口に運ぶとホロホロとトロける軟らかさ。ふわふわの蒸しパンに挟んで、付け合せの塩みが効いた漬物と一緒に愉しみましょう。
実は圓苑には、料理リストにない隠れメニューがあります。それは「口袋豆腐」という至極のスープ。水切りした豆腐をつぶした後、油で炒めて袋状に丸めたもので、作るには手間と技術がかかるため移転後はお蔵入りしていましたが、常連客のリクエストによって復活しました。
高野豆腐を粗くしたような食感に鶏ガラスープの出汁がしみ込み、鶏肉・アワビ・ホタテ・椎茸など滋味豊かな山海の食材が調和した秘伝のメニュー。ひと口食べるとホッとするその味わいは、常連客にとって「忘れられない逸品」だったに違いないと頷けます。普段はお目見えしないメニューですが、事前に電話予約をしておけば作ってもらえます。日本語では「ポケット豆腐」といえば伝わりますので、ぜひ。(3〜4人前、720元〜)
デザートにはシグネチャーディッシュともいわれる「小豆(あずき)の蒸しカステラ(圓山御製紅豆鬆糕)」(2切れ180元〜)を。
こちらは台湾の軍人・政治家にしてホテルの創始者でもある蒋介石(しょうかいせき)の妻・宋美齢(そう・びれい)婦人が好んでいたという中国の伝統菓子。婦人が母親から受け継いだオリジナルレシピをホテル(圓山大飯)のシェフに伝授し、思い出の味を再現したといいます。台湾産の小豆、もち米と米粉を合わせた弾力のある生地の中には、甘さ控えめの「こし餡」が入っています。グリーンと赤の華やかなトッピングは、色付けしたパパイヤ。
このお菓子のためにお腹のスペースを空けておきたい特別なデザートです。
食通をも唸らせる料理の数々に共通するのは、中華の伝統にオリジナリティを融合させた豊かな表現力と繊細な味の奥深さ。最初はホテル地下の小さな店舗からその歴史が始まったお店ですが、ガラス張りの厨房の前には、創業当時から使われているという四角いテーブルが今も健在し、お客さんを迎えていました。これは、「店舗が大きくなっても、スタッフ達と一緒に成長してきたことや初心を忘れないようにしたい」というオーナーの考えから。
長年ファンに愛される理由は、こういったところにも表れていました。
圓苑(圓山大飯店)
□ ADDRESS
台北市中山北路四段一號 (圓山大飯店本館1階)
□ TEL
+886-2-2886-8888
◎日本語での電話予約可
□ OPENING
ランチ11:30〜14:30
ディナー17: 30〜21:30
(土日祝日の14:30〜17:00は、アフタヌーンティータイム)
◎事前に電話予約しておくと待ち時間がなくスムーズに入れます
□ ACCESS
MRT圓山駅・1番出口
(駅から20〜30分おきに、圓山大飯店までの無料送迎バスあり)
※台湾桃園空港から圓山大飯店までは有料バスで約90分
(バスチケットは長距離バスカウンターにて)
https://www.grand-hotel.org/JP/official/about-traffic.aspx?gh=TP
圓苑(圓山大飯店)