台湾(台北)観光情報 STAR TRIP：林華泰茶行

自分用やお土産に美味しい台湾茶を購入するために足を運びたいのが、お茶のエキスパートがいる専門店です。

MRT大橋頭駅から歩いて5分程度のところにある「林華泰茶行」は、台北で最も歴史があるといわれるお茶問屋。お店は創業から130年以上の時を経て今は4代目のオーナーが伝統を受け継いでいる老舗中の老舗です。

こちらのお店は、お土産探しにも人気のエリア・迪化街に近いため旅の途中で立ち寄れるスポットとしてもおすすめ。一歩中に入ると、ドラム缶くらいの大きな茶缶がずらりと並び、店内からふわりとお茶の良い香りが漂ってきます。

地元民も足繁く通う専門店。このお店に来れば高品質のお茶が問屋価格で手に入れられるとあって観光客も多く、店内はいつも賑わっています。

店舗の奥にある製茶工場を、勤めて36年という工場長の廖（リャウ）明宗さんが案内してくれました。

ゆうに50年は経つという石造りの建物。爽やかな風が通るナチュラルな雰囲気の中庭を抜けて小さな工場に足を踏み入れると、目に飛び込んでくるのは巨大な焙煎機です。

林華泰茶行では、業者のお得意さんが多いため焙煎の量によって大小2台の焙煎機を日々使い分けているそう。

「大きい焙煎機は、稼働してもう25年も経つベテラン。鉄製ではなくステンレス製なので錆びがこず、とっても丈夫なんですよ。時季にもよりますが、1日に1,000〜3,000kgほどのお茶を伝統的な製法で仕上げています」。
そう話しながら年季の入った機械を優しく撫でる廖さん。

「都会の真ん中でこのような工場を維持していけるのは、昔から変わらずに取り引きしてくださるお客さんがいるからです。注文してくださる方と本当の信頼がないとやっていけません」と、優しい笑顔をみせます。

美味しい茶葉の選び方を教えてほしいとリクエストすると、緑のある中庭で透き通るような若葉を摘み取って見せてくれました。その木は工場で大切に育てられている「お茶の木」です。

「良いお茶の条件は、"一芯二葉"。手摘みする際に先端の柔らかい新芽の部分から二葉を摘み取った茶葉であることです。また、標高が1,000メートル以上の高山で栽培されることも大切ですね。昼夜の寒暖差や霧の出る厳しい環境が生命力あふれる極上の台湾茶葉を育ててくれます」。

工場長がお薦めするのは、標高1,000〜1,600メートルの茶畑で栽培され厳しい条件をクリアした「阿里山高山茶」や「文山包種」。希少価値の高い「東方美人茶」も優しい口あたりだそうです。

またお茶を淹れる際の「お湯の温度」も、美味しく飲むために欠かせないポイントだそう。

一般的にお茶は酸化発酵の度合いによって、不発酵の緑茶・半発酵の烏龍茶・完全発酵の紅茶に大きく分類されます。標高の高い地域で育てられる「高山茶」や「紅茶」は、発酵度が高く豊かな香りが特徴。それらの茶葉は上品な味わいを引き出すために、熱湯を注ぎ2分間はそのまま待ちましょう。

発酵度が15％と低く緑茶に近い烏龍茶「文山包種茶」の場合は、緑茶を淹れるときと同じように85度程度に温度を落としたお湯で淹れると茶葉の旨み成分がじっくり引き出されます。

淹れ方によっても美味しさが変わる台湾茶ですが、そもそも種類が豊富なのが台湾茶。

凍頂烏龍茶・東方美人茶・鉄観音・密香紅茶…と、産地や品種、製法などから多数の茶名が付けられており、等級もさまざま。お茶選びに悩んだときに専門の方に聞けるというのは嬉しいですね。

多くの種類がある台湾茶ですが、台湾の家庭で日常的に飲まれているのは「凍頂烏龍茶」（600元/600g）、店主のお薦めは「阿里山高山茶」（1,600元/600g）。

どちらもボール状の茶葉で、お店では長期保存の利く真空パックで購入できます。赤・緑・白の３色が揃うオリジナルの缶（1つ50元）も手頃で可愛いので、セットでお土産にするのもオススメです。

お茶の卸問屋である林華泰茶行いちばんの魅力は、良質な茶葉を安価で買えること。通常、問屋さんで茶葉を購入する際は業者用600gからの販売が基本ですが、林華泰茶行では旅行者への小売りにも対応し、全てのお茶が150g単位から購入可能です。

店内では試飲ができ、日本語の通じるスタッフもいるので分からないことは気軽に尋ねてみましょう。

また店内には茶器類も揃っています。台湾茶の奥深い世界に魅了された方は、茶器セットを揃えて本格的な台湾茶を自宅で愉しんでみてはいかがでしょうか。

お店で扱っている茶器類は、陶器の町として知られる鶯歌陶瓷老街（新北市）で買い付けられた良品で種類も充実しています。

淹れたての香り、口に広がるふくよかな甘み、あとに残る余韻を愉しめる台湾茶。
林華泰茶行で手に入れた茶葉が、旅の思い出とともに日常のお茶時間をより深く素敵なものにしてくれそうですね。