小倉 縞縞(しましま)本店
- Traditional textile
- 〈 小倉北区 〉
一本一本の糸が織りなす
凛とした「たて縞」の世界観
美しいたて縞と丈夫さを兼ね備えた北九州市の伝統工芸「小倉織(こくらおり)」をご存じですか?
江戸時代初期に豊前小倉藩(現:北九州市)で誕生した木綿の織物は、かつて武士の袴(はかま)や着物の帯などに使われ、かの徳川家康も鷹狩の羽織として愛用していたという記録も残っています。
そんな由緒ある織物ですが、明治時代に学生服の布地として人気が全国に広がったものの、昭和初期には生産そのものが途絶えていました。
それから数十年の時を経て、北九州市出身の染織家・築城則子(ついきのりこ)さんが幻となっていた布の切れ端を偶然目にし、強く魅せられたことをきっかけに復元。以来、印象的な柄と日本人の丁寧な手仕事を活かした織り地は、日本国内だけでなく海外からも人気を博しています。
その後立ち上げられた「小倉 縞縞(こくら・しましま)」は、伝統ある小倉織を機械で織り、モダンなアイテムに展開しているブランドです。
小倉織の特徴は、しなやかな質感と使い込むことで生まれる艶、そしてたて縞が織りなす色彩のリズム感。たて糸が通常の3倍多く織られるため、とても丈夫で帯としても締めやすく解けにくいという機能にも優れています。(一般的な織物は、たて糸とよこ糸の比率が1:1)
小倉 縞縞がスタートしたのは2007年。築城さんは手織りによる自身の作品を丹念に手がける一方で、ブランドのデザイン監修も行い、小倉織全体のクオリティを守っています。
本店ショップがあるのは、JR小倉駅からは少し離れた閑静なエリア。勝山公園がすぐ近くにあり、地元の方の散歩コースにもなっています。
入ってすぐ左手に並ぶ小倉織のロール生地は、機械織りによって140cmという幅の広さを実現。1メートル単位(8,800円前後)で購入ができることから、インテリアファブリックやハンドメイド用に求める方が多いようです。
店内はバッグや風呂敷などの小物をはじめ、カーテンやエプロン、洋服などの衣類まで多彩な品揃え。
中でも目を引いたのが、コロンとした形が可愛い「がま口(3,080円)」。小さいながらも実用的で、色のバリエーションも豊か。贈り物としても人気の高いアイテムです。
中に物を入れて持つと三角形のフォルムとなるバッグは、その名も「シンプルBAG(5,500円)」。風呂敷の発想から生まれたアイテムで、折り畳むとコンパクトに。手土産を持参するときや、旅先で荷物が増えたときなどにも重宝します。
「旅」をテーマにしたグッズもありました。
旅行かばんにつけるキャリータグ(4,180円)は、モノトーンのシックな色合いで、3柄展開。ストラップ部分はレザー素材で使い込むほどに滑らかになります。
右のパスポートケース(4,400円)は、内側の素材も上質。カードポケット付きで機能的です。
軽くて大容量の「PトートBAG」は、内側に軽撥水加工が施されていて濡れたときにもサッと拭き取れるという嬉しい工夫。バッグ上部のファスナーが外から見えにくくなっているのも、細部まで使いやすさにこだわるブランドらしさの表れです。
和装にはもちろん、普段使いにも幅広いシーンで活躍してくれます。(写真 手前Mサイズ:13,200円、奥Sサイズ:9,350円)
シャツやパンツなどのウェアもラインナップ。
肌触りがよく、すっきりとしたシルエットのシンプルなチェスターコート(121,200円)は、裏地に使用された小倉織が粋な印象。シャツやスカートなども、着心地の良さとお洒落感を両立させています。
自宅でのおもてなしや料理教室の場に似合うスクエアエプロン(6,050円)は、
ワンショルダーで縞が斜めに流れるため、スタイルアップも期待できそうな一着。たたんだ時の形状もスマートです。
こちらは、今治タオルと小倉織がコラボレーションした特別なタオル。リバーシブルで使えるというスグレモノです。(フェイスタオル 2,750円、ハーフタオルハンカチ 770円)
「小倉織の特徴である "先染め"(糸の段階で染めておく)の工程を経て、丁寧に織られています。柔らかいタオル地にシャープな縞模様が新鮮に映り、お祝いの品や記念品によく選ばれています」と、広報部の小川美里さん。
伝統を受け継ぎながらも新しい可能性に挑戦している小倉 縞縞の製品がどのように作られているのか、織物工場を特別に見せてもらいました。
タッタッと軽快な機械音が響く工場内。繊細な生地の品質を保つために、湿度は常に70%前後に設定されています。
生地になる前の木綿糸は、自然の染料で染めた時の色合いに限りなく近づけて染めあげられて工場へ運ばれます。束になった極細の糸は、ふんわり柔らか。色バリエーションも豊富でグレー1色をとっても、トーン違いで何段階にも分類されます。
一度は途絶えた伝統工芸。"これからは、小倉織の歴史が途切れないようにしたい" という思いから立ち上げた自社工場では、スタッフたちが真剣な表情で作業に没頭していました。
「機械織りとはいえ、複雑な模様を織り上げるには根気や集中力が必要です。質の高い製品づくりには技術者の存在が欠かせません」
一本一本の糸を織機にセットするのは人の手。密度の高い生地は糸が切れて機械が止まりやすく、そんなときに途方もない数の糸から切れた糸を探し出して手作業で修復することも職人技のひとつです。
細心の注意を払って工程を管理し、一つひとつ丁寧に進めることで成り立っている小倉 縞縞のモノづくり。
北九州に昔からあった手仕事を未来に繋ぎたいという気持ち、日本の伝統工芸に対する敬意。そして何より、良いものを届けたいという想い。アイテム一つひとつに、この気持ちがギュッと込められているのです。
小倉 縞縞 本店
□ ADDRESS
福岡県北九州市小倉北区大手町3-1-107
□ TEL
093-561-8152
□ OPENING
10:00〜18:00
□ CLOSING
毎週水曜日、お盆時期、年末年始
□ ACCESS
北九州モノレール「旦過駅」から徒歩約10分
バス停「勝山公園」から徒歩4分・「小倉北区役所」から徒歩1分
※本記事に掲載している価格はすべて税込みです
□ URL
小倉 縞縞(しましま) 本店