名古屋

菓子のまち、名古屋!?
まちに溶け込む菓子文化に出会う

名古屋は「菓子のまち」なのかもしれない。名古屋土産の定番“ういろう”“えびせんべい”だけではない名古屋の菓子文化に触れてみてはいかがだろうか。
歴史を遡れば江戸時代、「娯楽としてのお茶を楽しみなさい」と尾張徳川の藩主が茶の湯を庶民に広めた歴史があり、いまでも馴染みの和菓子屋が名古屋のどのまちにもある。
桜が咲き始める春には桜餅が店頭に並ぶなど、季節の訪れを知らせる和菓子は自慢したい日本の文化であり、四季を楽しめるおやつでもある。大人な手土産にも最適。
子供が10円でも買える駄菓子も注目したい。日本有数の駄菓子問屋も立ち並び、日本人なら誰でも知っている駄菓子のメーカーも多い名古屋。
駄菓子にまつわる名古屋特有の「菓子まき」という文化だってある。結婚式で幸せのおすそ分けとして駄菓子をばら撒く風習だ。花嫁が駄菓子を空高く投げる姿は今でも多く見ることができる。
また旅を楽しむ醍醐味として、食事のあとやまちの散策中に立ち寄るスイーツのお店も忘れてはいけない。
都心部から少し離れた住宅街や昔の町並みが残る地域には、素材や手作りにこだわった見た目も美しいお菓子の名店があるというお約束は名古屋にも健在だ。
甘い誘惑にさそわれて、名古屋のまちとお菓子の甘い関係に出会いたい。

台北

縁起物からヘルシー志向、もちもち食感まで!
個性豊かな台湾スイーツカルチャーを味わう

台湾のお菓子といえばお土産の定番“パイナップルケーキ”。
台湾語でいう「鳳梨酥」は商売繁盛や福を招くという意味の言葉と発音が同じため、縁起の良いお菓子として台湾では親しまれている。
旧正月である春節には客人にお菓子でもてなし、中秋節にはお中元のように月餅を送り合うなどお菓子にまつわる文化的な習慣は今でも大事にされている。
つまり台湾の人達は「お菓子と暮らし」は切っては切り離せないのである。
日常の中にも台湾スイーツを楽しむ光景がよく見られる。朝食として、ティータイムに、学校帰りに友達と、屋台の〆になど、老若男女問わず甘いものが好きなのだ。
台湾スイーツのバリエーションも豊富だ。ゴマ、ピーナッツなどの伝統的な味。QQと呼ばれる台湾人の大好きなもちもち食感のタピオカやタロイモ団子も欠かせない。
小豆や緑豆、仙草ゼリーなどヘルシーな食材も多く、かき氷や豆花にトッピングする組み合わせは無限大。どれも甘さ控えめで、ヘルシーなものも多いので、甘いものが苦手な人も味わってみてほしい。
さらにここは南国、トロピカルなフルーツの豊富さにも圧倒される。市場の果物屋に並べられる完熟マンゴー、巨大スイカ、お釈迦の頭のような個性派フルーツまで、見ているだけでワクワクする。
ここはアジアの“スイーツ天国”。南の島で育まれた個性豊かな台湾スイーツカルチャーを味わおう。

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両口屋是清 東山店

春には桜、秋には紅葉の和菓子を。
手のひらの中で季節の訪れを愛でる「両口屋是清」。

大きな三角屋根でひときわ目につく建物は、隈研吾がてがけた名古屋の老舗和菓子屋「両口屋是清 東山店」。
両口屋是清は創業1632年、店名は江戸時代の二代尾張藩主・徳川光友から拝したという、名実ともに名古屋を代表する老舗和菓子屋だ。
大きな「両」の文字が書かれた暖簾をくぐると、降り注ぐ陽の光で明るい店内が広がり、ショーケースに並ぶ様々なお菓子に目がとまる。
スターフライヤーの機内食デザートでも食べられる、両口屋是清で85年間愛され続けているどらやき「千なり」の姿もある。
全国に85店舗をもつ両口屋是清だが、菓子職人が毎日つくる生菓子がケースに並ぶのは、地元名古屋が中心なのだそう。
東山店では店内2階のカフェスペースで、お抹茶と生菓子のセット(671円~)もいただける。木の温かさを感じられるテーブルと椅子でゆっくりと堪能できそうだ。
足を運んだ11月の生菓子の中で気に入ったのは、秋の紅葉で錦の織物のように野山を彩る美しい景観をイメージした「錦秋(きんしゅう)」。
小豆粒あんを芯に、2色に染めたこしあんのきんとんで仕上げた見た目も繊細で美しいお菓子だ。その他にも菊、もみじ葉など秋を想像させる生菓子が選べた。
春夏秋冬、季節の訪れを知らせてくれる和菓子の世界では、そのお菓子を食べられる期間は2週間ほどしかない。季節の移り変わりと共に菓子も1年で約120種類も変わるからだ。
春には桜、夏にはアジサイや朝顔、冬は梅の花など、名古屋のまちの中でもふらっと散策すれば公園や街路樹で見つけられる季節の花や植物がモチーフになった和菓子の数々。
両口屋是清のお菓子はどの季節に名古屋を訪れても、手のひらの中で四季折々の風情を感じさせてくれる。

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HOK-House of Kuo 郭元益的家

老舗菓子店「郭元益」で味わう
台湾と西洋のマリアージュ

台北の中心街から少し離れた士林区文林路には、伝統中華菓子や焼菓子のお店が多く集まる“お菓子の街”がある。
その中でも「郭元益(クオユエンイー)」は創業1867年の台湾でもっとも古い菓子メーカーで、台湾のお祭りや結婚式の慶事では欠かせない台湾菓子の名店だ。
旧正月のお祝いにお菓子でもてなしたり、結婚式には「囍餅」という引菓子、出産祝いにはお菓子の詰め合わせを贈るなど、台湾では人生の節目節目でお菓子が使われる文化がある。
150年以上の歴史を持ち台湾を代表する菓子店が、2015年に創業の地に初めてのカフェ店舗「HOK-House of Kuo 郭元益的家」をオープンさせた。
5代目オーナーが、伝統菓子という“守り”だけでなく、歴史を繋ぐ老舗だからこその“新しいチャレンジ”もしたいと始めたのだそう。
築80年で壁一面を赤いレンガが覆う台湾式の古民家を活かした店舗は、お菓子とお茶のセットをはじめ、パスタやサンドイッチなどもあり。地元民や観光客もモーニングやランチにと訪れる本格カフェだ。
看板商品の伝統菓子「冰沙餡餅」や定番のパイナップルケーキをはじめ、中洋折衷の絶妙な味わいが25種類も楽しめる一皿「一遊未盡」(720元)には多くの人が驚くだろう。
個人的なおすすめは「巧糕仔」。緑豆やゴマ、ピーナッツをつかった台湾伝統の味を落雁風のペーストにしてチョコレートでコーティングした一品は、伝統と新しさが生み出した味。
一口かじると中からホロホロっとした落雁があらわれ口どけも滑らか、そしてミルクチョコレートの甘さが加わり、まさに台湾と西洋のマリアージュを楽しめる。
他にもナツメやサツマイモの餡がはさまれた斬新なマカロンや、キッシュ風のおにぎりも一口一口、驚きと感動の連続で面白い。
お好みの香り高い台湾茶とあわせた台湾的アフタヌーンを満喫してもらいたい。
伝統を守りながらも新しい挑戦を続ける今の郭元益に、天秤棒をかついで1軒1軒に売り歩いていた郭元益の先代も、頼もしく思っているに違いない。

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クッピーラムネ

花嫁が駄菓子のシャワーをふらせる!?
名古屋生まれの駄菓子カルチャーに驚く。

「子供の頃、どんな駄菓子を食べたか」と質問があがれば、小学校の帰り道に10円を握りしめて駄菓子屋に立ち寄った懐かしい思い出が蘇る。
遠足ではお菓子500円までルールの中で、ガム、チョコレート、グミなど自分のベストな組み合わせを熟考したものだ。
そんな駄菓子文化が名古屋のまちには色濃く残っている。名古屋生まれの駄菓子の代表格といえば、ウサギとリスのキャラクターが印象的な「クッピーラムネ」だ。
白、ピンク、オレンジと3色の甘酸っぱいラムネは昔から変わらない懐かしい味が人気で、今でも1つ10円で買えるのが驚きだった。
そんなクッピーラムネを作るカクダイ製菓は今年で創業100周年、多くのお客さんに愛され続けるお菓子メーカーが自分のまちにあるのは嬉しい。
クッピーラムネだけでなく、「マルカワガム」、「さくらんぼ餅」と全国区の商品がたくさん生まれるほど、名古屋は有数の駄菓子産地なのだ。
また、蔵や町家が立ち並ぶ風情ある古い街並みが残る四間道、円頓寺エリアからも散策ついでに立ち寄れる場所に、多くの駄菓子問屋街も立ち並ぶ。
カラフルな駄菓子が大量に雑然と並ぶ光景は大人の心もくすぐり、あれもこれも“大人買い”したいほどのワクワクした気持ちにさせてくれる。
駄菓子問屋の看板にある「嫁入り」という文字にも目を向けてもらいたい。これは結婚式に幸せのおすそ分けとして駄菓子をばら撒く「菓子まき」という名古屋特有の文化のことだ。
結婚式場の2階から新郎新婦がお世話になったゲストの方々に向けて、駄菓子のシャワーをふらせる驚きの光景は名古屋の結婚式の風物詩だと思う。
そんな名古屋の駄菓子文化がいっぱい詰まった明道町菓子問屋で、クッピーラムネも入ったお買い得の袋詰めの駄菓子セットをお土産に選ぶのは良いアイデアではないだろうか。

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王子麺

みんなが好きなおやつの定番、
台湾版“ベビースター”「王子麺」

台湾で知らない人はいない「野球帽の少年」。それは1970年から台湾人に愛され続けている即席麺「王子麺」だ。
火鍋で締めのラーメンにするでもオッケー、乾麺をもみ砕き調味料をまぶしてスナック菓子のように食べる「駄菓子」的な食べ方も台湾のスタンダードだ。
オリジナルのチキン味(1セット5パック34元)から牛肉麺味、海苔味など、まさに台湾版の“ベビースターラーメン”のようなお菓子で、学校の昼休みに友達とおしゃべりしながら食べたり、色んな味を混ぜて一緒に食べるなどの幼少期の思い出エピソードが少しずつ違って面白い。
類似の乾麺も「科学麺」、「統一脆麺」など個性豊かな商品も多く、台湾人のおやつの定番になっている。
そんな国民的駄菓子は子供のおやつだけでなく、「滷味(ルーウェイ)」の屋台でもよく見かけられる。
滷味とは店頭に並ぶ白菜、かまぼこ、肉団子など好みの野菜や肉を選び、醤油ベースのスープで煮込んでくれる1人鍋のような屋台めし。
どのお店も30種類以上は具材が並んでいて、もち米と豚の血を混ぜたモチモチ食感の「豬血糕」や鶏の足など、日本では馴染みのない食材との驚きの出会いも楽しい。
日本でいうコンビニおでんのように好きな具材を選んで、最後に王子麺も注文しよう。八角をはじめとした様々なスパイスで味付けをされた甘じょっぱいスープが麺と絡み合い、野菜のシャキシャキと肉や海鮮具材の食感もあいまって、ズルズルと箸が止まらなくなる。これからの少し肌寒くなる季節にはもってこいの一品だろう。
子供のおやつから、屋台めしでも人気の王子麺は、台湾らしいお土産としても喜ばれる。小分けになった「小王子麺」はばら撒き土産に最適だ。
自分好みの「野球帽の少年」を探しに、ホテル近くのコンビニや地元スーパーへ立ち寄ってみよう。

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ちいさな菓子店 fika.(フィーカ)

ジューシーな果物が贅沢なタルトで
“fika(フィーカ)”しましょう。

北欧の言葉で「お茶しましょう」という風習が店名の由来なんですと教えてくれた「ちいさな菓子店 fika.」の店主、乾武史さん。
毎日でも食べられる美味しいお菓子をつくりたいと奥さんと2人ではじめた小さなタルト専門店は今年で12年目だ。
お店がある覚王山という街は、日本で唯一「仏舎利」と呼ばれる仏様のお骨が収められている日泰寺というお寺を中心に昔からのお店やカフェなど新旧のお店も立ち並ぶ、ゆったりとした住宅街エリア。そんなまちを少し下った坂道にお店はある。
扉をあけると、彩り鮮やかな様々なタルトが並ぶ宝石箱のようなショーケースが出迎えてくれる。
訪れた季節は秋だったので、リンゴ、栗、木の実、ネーブルオレンジなど秋の果物や食材をふんだんに使われたタルトが常時20種類ほど並んでいた。
大きくインパクトのある海外のお菓子をイメージに持ちながら、タルト生地をお皿と見立てて果物やチョコレート、クリームで自分達の好きな世界観を自由に表現しているという店主自慢のタルトたちは、ショーケースの中で1つ1つがアート作品のように輝いていた。
迷いに迷った中で決めた1品は、「シャインマスカットのタルト(680円)」。
高級食材でもあるシャインマスカットがタルト生地からこぼれ落ちそうなほど盛りつけられていて、見ただけでわかるジューシーで鮮やかな果肉に心を奪われてしまった。
一口食べればわかる素材の瑞々しさ、タルト生地に練りこまれたレモンのコンフィの酸味が相まって、口いっぱいに爽やかな清涼感と多幸感が広がるのだ。
そんな絶品タルトは1つ1つが手作りで、数に限りがあるため常連さんや遠方からのお客様でお昼の13時には連日売り切れてしまう。
そこで朝食にモーニングを楽しんだらfika.のオープン時間を目指し、少し足をのばして覚王山エリアへ出かける名古屋旅のコースを提案したい。

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豆花莊

タピオカだって自家製!
つるんと食感が絶品の豆花専門店「豆花莊」

台湾の人気夜市「寧夏路夜市」エリア入口のすぐ手前に朝から深夜までお客さんが絶えない「豆花莊」がある。
ドラゴンフルーツを思わせる鮮やかなピンクのポロシャツとキャップを身に着けた店員さんが元気な挨拶で迎えてくれるこのお店は、初代のおじいさんが台車をひいて売り始めてからもうすぐ55年。昔ながら手作り製法でこだわりの豆花を作り続ける地元でも人気の豆花専門店だ。
8時間水にひたした大豆は、濃厚な大豆の香りと、つるんとした食感をつくりだす。名物の花生豆花(45元)のピーナッツは15時間も煮込み、舌と上あごに挟むだけで優しくつぶれてしまうほどの柔らかさで感動すら覚えてしまう。
その他にも毎日仕込むトッピングは常時20種類以上で、タピオカだって自家製。紅豆、緑豆など様々な健康的な甘味が揃う。
口当たりのよい豆花に甘さ控えめの黄金色のシャーベット状シロップをかけた豆花は、台湾人が長年愛するヘルシースイーツだ。
お茶碗サイズの食べやすいサイズも最高。トッピングを3種類以上頼むと茶碗がどんぶりサイズに変更されるのでスイーツ男子にはそちらもおすすめ。
これから寒くなる冬になると、生姜汁を加えた温かいスープで食べる豆花があるようだ。こちらも常連さんの真似をして注文してみたい。
早朝は年配のお客さんがゆっくりと1杯の豆花を味わい、ティータイム、学校帰りの学生、屋台後の〆まで長い営業時間で様々なお客さんが姿をみせる。
多くのお客さんに愛される豆花莊の3代目は26歳の女性店長。取材時、「歴史を守るのはプレッシャーよ、でも頑張るわ」と歴史を背負う言葉を語りながらも、変わらない味を作り続けるための仕込み作業にお店の裏へと笑顔で手を振って出ていった。

名古屋

  • 両口屋是清 東山店

    < 住所 >
    名古屋市千種区東山通4-4-1
    (地下鉄「東山公園」駅より徒歩3分)

    < 営業時間 >
    9:00~18:00(LO 17:30)
    [定休日] 年中無休(1月1日のみ休み)

    < 電話 >
    052-782-1115

  • 明道町菓子問屋 たつや

    ※こちらでクッピーラムネも購入可能です。

    < 住所 >
    名古屋市西区新道2-5-1
    (地下鉄「国際センター」駅より徒歩5分)

    < 営業時間 >
    7:00~17:00
    [定休日] 日曜日

    < 電話 >
    052-571-4660

  • ちいさな菓子店 fika.(フィーカ)

    < 住所 >
    名古屋市千種区菊坂町2-2 シャトレータカギ 1F
    (地下鉄「覚王山」駅から徒歩3分)

    < 営業時間 >
    11:00~18:00
    [定休日] 日曜日、月曜日、火曜日

    < 電話 >
    052-846-6657

台北

  • HOK-House of Kuo 郭元益的家

    < 住所 >
    台北市士林區文林路526號
    (MRT「士林」駅より徒歩8分)

    < 営業時間 >
    8:00~18:30
    [定休日] 旧暦の大晦日~1月2日

    < 電話 >
    02-2833-8377

  • 王子麺

    ※コンビニやスーパーで購入可能

  • 豆花莊

    < 住所 >
    台北市大同區寧夏路49號
    (MRT「雙連」駅より徒歩10分)

    < 営業時間 >
    10:00~25:00
    [定休日] 旧暦の大晦日~1月3日まで

    < 電話 >
    02-2550-6898