名古屋

ゆったりとした時間が漂う
名古屋人が愛する朝の風景“モーニング”

街の至るところに個性的な喫茶店が立ち並び“喫茶店のまち”とも称される名古屋。
そしてそのほとんどの喫茶店で朝から注文が飛び交うのがモーニングサービス。
コーヒーを頼むとトーストとゆで卵が無料でついてくるお得なサービスで、名古屋人はこれが大好きなのである。
もはやサービスのことだけでなく、朝の時間を楽しむ名古屋の食文化として“モーニング”という愛称で呼んでいる。
家族で団らんしたり、ご近所さんとおしゃべりしたり、1人で新聞をひろげ煙草を吸ったり。思い思いのゆったりした時間を過ごすのが名古屋スタイルだ。
旅においても朝食にはこだわりたい。美味しい朝食が食べられると、その日1日が幸せにスタートできるからだ。
ゆで卵とトーストだけでないバラエティ豊かなモーニングを提供するお店も増えてきている中で、
古き良き、こだわり、新しいなど、自分の好みに合った馴染みの1軒が見つかれば、名古屋の朝はますます楽しくなるだろう。

台北

エネルギッシュな台北の元気の源
好きなものを自分流にカスタマイズする“早餐”

台北の朝は元気だ。野菜や果物、道端には魚が並べられ、豚の解体ショーまで見られる活気のある朝市。
原付が滝のような大渋滞をつくりながら走る通勤ラッシュ。公園では元気に体操をしている人たちも多い。
そしてどんなに忙しくても台湾人は朝ごはんを大事にしている。
台湾では朝ごはんをテイクアウトして職場や学校で食べる方が多く、「早餐店(ヅァォツァン)」の看板を掲げた食堂や屋台が街にはたくさんある。
出勤前のOLさんや、ヘルメットをかぶったまま並ぶサラリーマンが見られるのが朝の日常だ。子供だって50元1コインをお母さんにもらって1人で朝ごはんを買いにくる。
また台湾の人は「美味しいものをたくさん食べたい」という食欲旺盛な性格から、朝食にもバリエーションが多い。
料理でも焼き方、トッピング、温かい、冷たいなど選択肢が多彩すぎて朝から何を食べようか迷ってしまうほど。
「3食の中で一番好き」なんて話もよく聞くほど、台湾の人にとって朝食は特別で1日の元気をつくる源なのだ。

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コンパル御器所

老舗喫茶店「コンパル」で
名古屋の日常に溶け込む。

御器所駅から徒歩2分の住宅街に突如現れる喫茶ビル〈コンパル御器所店〉。
コンパルの創業は戦後まもない1947年。名古屋の喫茶店の中でも根強い人気の老舗喫茶店だ。
階段をのぼるとゆったりとした店内が広がる。市内8店舗あるコンパルの中でも唯一の自社ビル店舗で、一番落ち着くと常連さんも太鼓判を押す。
赤茶色のソファや低いテーブル、蝶ネクタイに白シャツの店員さん、レトロ感漂うこの空気が余計にそうさせるのだろう。
コンパルの一番の人気はサンドイッチ。そして朝は8割のお客さんが頼むというモーニングセット(ドリンク代+130円)を真似して注文しよう。
朝のセットでしか食べられないハムエッグサンドと、そのお供には名物のアイスコーヒーを頼むのが正解。
氷の入ったグラスと、小さいカップに入れられた熱々の濃いコーヒーが運ばれ、「こぼさないように一気に注いでくださいね」とアドバイスをくれる店員さん。
これがうまく入れられたら今日は良い日という願掛けもあるようだ。サンドイッチはどれも美味しく、エビが3本も入ったエビフライサンドは絶品。
せっかく旅行で来たなら一緒に頼んでみてほしい。友達と食べるなら3つにでも4つにでも切ってくれるのでシェアするのも良し。
ローカルな名古屋を楽しむには常連さんの多い朝の喫茶店に溶け込むのが一番だ。朝から噂話に花が咲くマダム達、新聞をひろげ煙草の煙をくゆらせるオジサマなど様々。
アイスコーヒーが案の定こぼれてしまっても、この安心感に包まれるだけで良い一日がスタートできるような気がする。

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四海豆漿大王

台湾の定番朝食「鹹豆漿」で
胃も心も落ち着ける

台湾でクラッシックな朝食を味わいたいなら、「鹹豆漿(シエンドウジャン)」だろう。
現代アートが鑑賞できる「台北当代芸術館」も並ぶ道沿に〈四海豆漿大王〉と大きく書かれた赤い看板がある。
通勤中のバイクが行きかう車道からも見渡せるほどの大きくひらかれた店先、歩道に面したオープンキッチンが印象的だ。
木樽やせいろから立ち込める湯気に誘われるように店内に入ると、忙しく並ぶテイクアウト組とは違いゆったり朝食をとるお客さんも多い。
みんなが美味しそうに食べているのがお目当ての「鹹豆漿」(30元)。優しい塩味の温かい豆乳スープに揚げパンを浮かべた台湾の定番朝食は、
時間が経つにつれ豆乳がおぼろ豆腐のような食感に変化していく不思議な味わいだ。ついつい食べ過ぎてしまう台湾旅では嬉しい優しい味である。
そして豆漿屋は美味しい小籠包を出す店が意外と多い。少し皮が厚めのモチモチ生地で、肉汁ジューシーな蒸したてアツアツ小籠包は誰もが納得の味わいだ。
他にも卵焼きクレープ(ダンピン)や、香ばしくサクサクな焼餅もあって注文は迷いがちになるが、「これもおいしい」と日本語で人懐っこく話しかけてくる店員さんを信頼してたくさん食べてみよう。
“世界で一番美味しい”と大きく書かれた看板は大げさだとしても、期待は裏切らないはずだ。営業時間も長いのでいつでも立ち寄れるのがまた嬉しい。

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EARLY BIRDS BREAKFAST

早起きは三文の徳。
自転車乗りが集うアメリカンダイナー

「早起きは三文の徳」アメリカにも同じようなことわざがあるんですよ、そう店名の意味を教えてくれた店長の大平恵太さん。
“アリバ”の愛称で呼ばれる自転車屋に併設されたダイナー〈EARLY BIRDS BREAKFAST〉は1プレートのアメリカンブレックファストが人気のお店だ。
自分も自転車乗りであり、アメリカ西海岸の文化が好きだった大平さんが7年前、オレゴン州ポートランドを訪れた時見た朝食文化がお店の原点となっている。
早朝からダイナーに自転車で集まり、朝ごはんを食べて元気に遊びにでかける若者を見て、同じような景色を名古屋にもつくりたいと思った。
朝7時から夕方までいつでも注文できる「BREAKFAST PLATE」は、カリカリのじゃがいもガレットと、卵の焼き方、パン、ソーセージやベーコンの肉の種類を選べるアメリカのスタンダードな朝食。
母国の味を求めて週末には1日30~40名は名古屋近郊で暮らすアメリカ人が来るというから驚きだ。
個人的にはボリューム満点の2EGG PLATE(800円)がおすすめだけど、オムレツやホットサンドなどのメニューも最高に美味しいので、その日の気分にあわせて選ぼう。
また、併設する自転車の整備をおこなうピットを眺め、パンク修理をする店員さんの働きぶりを見てさらに「今日も一日頑張ろう」という気分になれるのもお店に通う理由の1つだ。
良い日も悪い日もあるけど、早起きして美味しい朝食からグッドモーニング!と爽やかに始まる1日は、三文の徳をはるかに越えることを約束する。

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劉媽媽飯團

母の優しさは国境を越える。
“劉ママ”の健康おにぎり

独自の食文化をもつ台湾。日本の食べ物と似て非なるものも多い台湾料理の朝ごはんの代表格に“台湾風おにぎり”がある。
〈劉媽媽飯團〉は1日600個も売り上げる行列がたえない人気店。店名にもなっている劉ママ(劉媽媽)の「健康的で美味しいもの」をモットーにしたおにぎりは地元に愛されて18年目だそう。
中でも1番人気が「起士海陸總匯飯團」(65元)。もちもちの紫米、に甘い肉髭、ゆで卵、ツナ、チーズ、揚げパン、すべての具材が入った爆弾おにぎりだ。
肉でんぶや白菜の漬物で甘味や酸味を出した台湾味が口いっぱいに広がり、もちもち&ザクザクの2つの食感も楽しい。
日本のおにぎり3個分くらいのボリュームはあるので食いしん坊な男性にも嬉しいし、半分に切ってもらい2人で仲良く分けるのも良い。
おにぎりのお供に珍しい黒豆の冷たい豆乳ドリンクもいただき、健康的な朝ごはんを楽しんでいると、おにぎりをつくってくれていた息子さんが突然1枚のはがきを見せてくれた。
それは日本人旅行客からの「美味しかった」という御礼の手紙だった。今日も元気にいってらっしゃいと送り出してくれる母の愛情たっぷりの朝食は、国境をも越えるようだ。

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KAKO花車本店

果肉たっぷりの果物ジャムと
ブレンドコーヒーで始まる美しい朝。

名古屋駅からほど近い花車ビルと呼ばれる古いビルの一角に、創業1972年の老舗コーヒー店がある。
〈KAKO花車本店〉は、御年72歳の名物マスター土屋さんが独学でコーヒーを学び、自家焙煎の深入りブレンドコーヒーを提供する名店だ。
コーヒーと共に創業時から変わらない人気メニューが果物をつかった自家製のコンフィチュールのトースト。
いまではこのモーニングセットを求め常連さんから、スマホを片手に写真を撮りたい女性客が連日行列をつくる。
常時10種類以上の自家製コンフィチュールから日替わりで4種類を味わえ、“オレンジマーマレード、キウイ&白ワイン、フランボワーズ&バナナ”など
定番から意外な組み合わせのものも楽しめるし、苦手なものがあれば変えてくれるのも嬉しい。
名物は「シャンティールージュスペシャル」(11時まではドリンク代+350円)。
少し厚めに切ったトーストにバターが塗られ、甘さ控えめの生クリームと自家製あんこをのせ、さらに上から4種のジャムが盛りつけられる。
名古屋流の“足し算文化”と思われがちだが、これが驚くほど後味がすっきりしていて美味しい。そこに熱い深入りのコーヒーを一口、すっきり。
「マスターはおしゃれで可愛いんですよ」そう話してくれたのはスタッフの木村さん。あいにくこの日はマスターがお休みだったのだが、
毎日ギャルソンのシャツに袖を通し、常連さんには「おはよう」と気をかけ、観光客であろう人には「食べてみやーち」と少し大げさな名古屋弁で喜ばせるマスター。
分け隔てない楽しい会話が毎日のカウンターの風景なんだそう。47年続くお店にはちゃんと理由があるんだ。今度はマスターに会いに行こう。

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高三孝碳烤吐司 本店

朝食パン派の人には
ワイルド店主がつくる台湾風サンドイッチを

台湾では三明治(サンドイッチ)の朝食も人気だ。新しいスタイルの朝食も味わっておきたい。
中正紀念堂駅からつづく大通りから1本裏に入るとオレンジ色の看板〈高三孝碳烤吐司〉が目に入る。
ニーハオと出迎えてくれたのは白髪を後ろで束ねたワイルドおやじ、オーナーの許さんだ。
そんな許さんのつくるサンドイッチは新鮮で無添加、ヘルシーで絶品だと連日多くの地元民や観光客でにぎわう。
看板メニューは、炭火で焼いたパンに豚肉ソテーにふわふわ卵、甘めのポテサラとレタスを挟んだ「豬排總匯三明治」(85元)。
現役ミュージシャンでもある許さん(ワイルドさに納得)がライブでアメリカなどを周った時、衝撃的に美味しかったサンドイッチを
台湾でも食べてもらいたいと飲食未経験ながらも高校3年生の時の同級生と2人でお店を6年前に立ち上げた。
いまや朝食やランチにまで注文が殺到するサンドイッチは、ライブツアー中に食べた味に、許さんの母親がつくってくれた甘いポテトサラダを入れた懐かしい思い出の詰まった一品だ。
また、店名にもなっている高校時代を懐かしめる黒板や椅子、机をつかった個性的な店内も楽しんでもらいたい。
テイクアウトをして近くにある台北のシンボル「中正紀念堂」の広場を散策しながらサンドイッチにかぶりつくのもおすすめだ。

名古屋

  • コンパル御器所

    < 住所 >
    名古屋市昭和区御器所通2-9
    (地下鉄御器所駅より徒歩3分)

    < 営業時間 >
    8:00~21:00(LO 20:30)
    [定休日] 無休

    < 電話 >
    052-733-1518

  • EARLY BIRDS BREAKFAST

    < 住所 >
    名古屋市中区千代田4-14-20
    (地下鉄名城線 東別院駅より徒歩8分)

    < 営業時間 >
    7:00~17:00
    [定休日] 木曜日

    < 電話 >
    052-265-9290

  • KAKO花車本店

    < 住所 >
    名古屋市中村区名駅5-16-17 花車ビル南館 1F
    (地下鉄「国際センター」駅から徒歩2分)

    < 営業時間 >
    [月~金] 7:00~19:00
    [土・日・祝] 7:00~17:00
    [定休日] 無休

    < 電話 >
    052-586-0239

台北

  • 四海豆漿大王

    < 住所 >
    台北市大同區長安西路29號
    (MRT中山駅より徒歩5分)

    < 営業時間 >
    [月~土] 6:00~22:00
    [日] 6:00~13:00
    [定休日] 端午の節句(旧暦の5月5日)、中秋の名月(旧暦の8月15日)、お正月(旧暦の元旦)

    < 電話 >
    02-2556-2785

  • 劉媽媽飯團

    < 住所 >
    台北市中正區杭州南路二段88號
    (MRT古亭駅より徒歩で約10分)

    < 営業時間 >
    5:00~11:00(売り切れ次第)
    [定休日] 月曜日 ※端午の節句(旧暦の5月5日)、中秋の名月(旧暦の8月15日)、お正月(旧暦の元旦)

    < 電話 >
    02-3393-6915

  • 高三孝碳烤吐司 本店

    < 住所 >
    台北市中正區南昌路一段31巷11-4號
    (MRT中正紀念堂駅2番出口より徒歩5分)
    ※2020年移転予定あり

    < 営業時間 >
    [月~金] 7:00~14:00
    [土・日] 7:30~14:00
    [定休日] 毎月の第二の月曜日、旧暦の12月31日~1月2日まで

    < 電話 >
    02-2322-5918