デザインのある光景Number: 6


Subject:

Goliathus casicus

Text: Yoshiko Taniguchi

Photo: Kyoko Omori

Mother Comet No.18 | 2017.September

インパクトのある写真が目に飛び込み、少なからず読者を驚かせているかもしれない。この虫はアフリカに生息する「ゴライアスオオツノハナムグリ」属の「カタモンゴライアス」。名前は旧約聖書に搭乗する巨人・ゴリアテの英語読み「ゴライアス」から由来。大型の個体だと、体長が10cmを超えてくる巨虫だ。

「しかも、この大きな体からは想像がつかないほど、高速かつ俊敏に飛ぶという。多くの甲虫は、体を守る硬い前翅(ぜんし)を開いた後で、下の薄い後翅(こうし)を開いて飛ぶのだが、ハナムグリの仲間は前翅を閉じたまま、下から後翅をだし、すごいスピードで飛ぶことができる。この飛翔方法はヘリコプターの飛び方に似ているといわれており、空中停止や急旋回も可能。もしかしたら、プロペラや翼の仕組みを考案した人は、この虫たちからヒントを得たのかもしれない・・・。虫を眺めながら、そんなことをあれこれ想像することが、虫好きにはたまらなく愉快な時間に違いない。

今回、撮影のために美しい虫を提供してくれたコレクターの吉田大典さんは、「ゴライアスオオツノハナムグリ」の大きさに魅了された1人だ。「虫は他の生き物に比べて、圧倒的な多様性を誇っており、100万種くらいいるもんだから、コレクターは何かに特化しようとする。私たちの場合は最初に種を集めたくなって、次はより大きなものに興味を持ち、ゴライアスを集めるようになりました。こいつは甲虫類の中では世界一ボリュームがある。子どもの頃は、手塚治虫先生の絵でしか見たことがなかったから、憧れであり、高嶺の花でした」。昆虫が生まれながらにして持つ機能美や装飾美は、長年、人々の目や心を楽しませ、空想の世界へ誘ってきた。「アフリカの虫は、アフリカ独特の色と形、においがするんです。この縞模様なんかは、アフリカにいるシマウマを彷彿させませんか?日本の虫は、総じて渋さとか、いぶし銀のような雰囲気を感じるし、地域性が出る。模様を、民族衣装のようなものだと考えても面白いですよね」。

小学校3年生の頃に、昆虫の形や模様、色に惹かれ、収集歴はゆうに50年を超える吉田さん。自宅には膨大なコレクションを収めた秘密基地があり、その中で生き生きと虫の話をする吉田さんの眼差しは、小学生の時とあまり変わらないのかもしれない。

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